3月3日(日)12時から、南山神社で「春の例大祭」が行われました。
 例年3月3日の直前の日曜日に開催される「春の例大祭」では、神楽保存会による神楽の奉納が慣例となっています。新型コロナウィルスの影響により本来の形の例祭ができない年が続き、神楽の奉納は5年ぶりとなりました。コロナ前は12演目の舞を奉納していましたが、今回は6演目約2時間の奉納となりました。
 南山神社には、山の麓に車を駐車してそこから歩きます。そして、少し急な階段を上ったところに建っています。息を切らしながら階段を上っていくと、神社の境内は多くのお客さんと、氏子のみなさんのお接待で賑わっていました。

 伊陸南山神社の神楽は、荒神神楽の性格を持っており岩国行派の神舞が玖珂盆地の長野に伝わり、それが伊陸へ伝えられたと言われています。
 以前は、神社の麓にある広場にやぐらを立て舞台を作り神楽を披露していたそうですが、現在は神社の中で披露しています。神社の扉は取り外し、外から神楽を楽しめる造りになっています。
 この日奉納された神楽は「湯立(清めの行事:神殿の中心で湯を湧かす)」、「六神(六人が舞い納める)」、「砂水(砂水を清める舞)」、「武太刀(儀式の太刀を持って東西南北、中央の清め、災い各邪道の道切りをする。)」、「三鬼(飢欲 渇欲 貧欲の性化神となって荒ぶ鬼を捧脂史納める。そののち三方荒神鎮めを舞う。)」、「武鎮(大巳貴命の身種開きの舞)」の6演目でした。
 
 神楽保存会は、伊陸小学校の生徒に「湯立」と「砂水」の舞の指導をされています。この2演目以外の神楽を観るのは初めてでしたが、普段目にする穏やかな神楽舞とは一味違った迫力満点の神楽舞に触れ、また、近くで舞子の息遣いを感じとても感動しました。観客のみなさんは、カメラや携帯を片手に写真を撮りながら、歓声と惜しみない拍手を送っていました。

2004年2月29日八関神楽「松の舞」        
   (中国新聞より)

 「伊陸南山神社の神楽」は、柳井市の指定無形民俗文化財です。
 毎年行われる「例大祭」の他に、24年に一度(申年)に行われる「八関神楽」があります。
 八関神楽は1703年に始まったとされ、すり鉢状になった神社の裾野に舞台を特設し、2日に渡り16演目が披露されます。神楽が終盤に近付くと八つの関所の舞い納めがあり、『七日間斎戒沐浴した舞子が約20mの松の柱を伝って天辺まで上り、灯篭に点火し紙吹雪を撒くと天の岩戸が開く』という故事に従って、頂上で神事を行います。その後舞子は、紙吹雪が流れた方向に綱を伝って逆さまに降りて来る、という『松の舞』で幕を閉じます。桟敷席の頭上に張られている綱を、紙吹雪を撒きながら降りてくる様子は圧巻です。 

 次回の八関神楽は、令和10年に行われる予定です。神楽保存会の会員数は現在8名で、継承危機とも言われています。保存会の方は、「321年も継承されてきた伊陸神楽を、これからも次の世代につないでいきたいと思っています。神楽に興味のある方、地元の伝統を守っていきたい方達と一緒に頑張っていきたいと思います。」と話されました。
 地元の伝統の灯が続いていく事を強く願ってやみません。 
◇神楽保存会連絡先  ☎090-7899-0847◇
  神楽に興味のある方のご連絡をお待ちしています。