9月1日は「防災の日」、9月9日は「救急の日」でした。近年、自然災害が起こる回数も規模も増加傾向にあり、テレビでも「防災グッズ」や「自分の身を守る行動」など、多く放送されています。いざという時に躊躇せず行動するためには、日頃の訓練も大切になってきます。

 6月25日、伊陸小学校では「避難訓練」が行われました。

「地震です。地震が発生しました。」
「地震が続いています。安全な場所を探しましょう。丈夫な物の側でじっとしていてください。上から落ちてくる物に注意してください。」
 警告音の後に、このようなアナウンスが流れます。子ども達はアナウンスが流れると、一斉に机の下に身を隠していました。低学年の教室では、先生が「頭を隠して。」と声をかけていました。

上手に机の下に身を隠しています。

「地震が収まりました。」というアナウンスの後、上靴のままグラウンドに避難します。

 これは、「シェイクアウト訓練」といわれるもので、2008年にアメリカのカルフォルニア州で始まった地震防災訓練です。多くの自治体で、住んでいる場所での一斉訓練としても取り組まれています。
1:(姿勢を低くして)しゃがむ
2:(体や頭を守って)隠れる
3:(揺れが収まるまで)待つ
「安全行動1-2-3」を身に付けることで、地震の揺れを感じた直後の初動対応がスムーズにできるようになります。

 初めて避難訓練の様子を見学しましたが、子ども達が無言で素早く行動していることに感心しました。こうした日々の訓練がいざという時に役に立つのだと思います。

 

 また別の日には、「救急救命法講習」が行われました。小学校の高学年と先生方がそれぞれ、日本赤十字社の方から「心肺蘇生」について学びました。
 脳は心臓が止まると15秒以内で意識がなくなり、その状態が3~4分以上続くと回復が困難になります。医療機関へ引き継ぐ間の「胸骨圧迫(心臓マッサージ)」や「人工呼吸」(新型コロナウィルスの感染予防対策ができる場合)は、極めて重要になってきます。最近では「AED(自動体外式除細動器)」を見かけることが増えましたが、どのような場面でどのように使うのか、知らなければ救助場面で使うことができません。「AED」は自動音声で使い方を知らせてくれるので誰でも使えます。だからこそ一度でも体験することが大切なのだと思います。

心停止を起こしているかどうか、普段通りの呼吸があるかどうかを、胸部と腹部の動きを観察して判断します。
「胸骨圧迫」は〝強く・早く・絶え間なく〟行います。
放課後、先生方も「AED」を使って心肺蘇生法の指導を受けました。

 

 私は、AEDを使った心肺蘇生法の講習を数回受けたことがありますが、AEDを使う時は毎回緊張します。今回は見学でしたがとても勉強になりました。
 心停止直後に、「死戦期呼吸」といわれるしゃくりあげるような不規則な呼吸をしていることがよくあるそうです。この呼吸を〝普段通りの呼吸〟と捉えず、「胸骨圧迫(心臓マッサージ)」を行うことが必要だそうです。
 講習を受けて知識を増やすことは、緊急事態時に「自然に体が動く」という事に繋がるのだと思います。

 このような講習を子どもの時から受ける事、また何度も繰り返し受ける事は、救える命を増やせるに違いないと思っています。

 

〈追記〉
「AED もう迷わないで」  ー新聞記事よりー
 
 女性にも 服着せたまま素早く

 国内の研究者が、08年4月から15年12月までに、国内の学校で心停止をした子ども232人の救命措置について調べ、19年に論文で報告した。小学生と中学生では男女差はなかったが、高校や高等専門学校の生徒では、AEDのパッドが貼られたのは男性83%、女性56%だった。
 AEDの原則は、普段通りの呼吸がないと判断したら服を脱がせ、「右の鎖骨の下」と「左のわき腹あたり」の汗を拭き取り素肌にしっかりパッドを貼る。
 女性の場合、下着を脱がせることに抵抗感があるが、日本AED財団は、素早く素肌に貼り付けられるなら服をすべて脱がす必要はなくネックレスや下着の金属部分がパッドに触れなければAEDは使用できるとしている。
 日本はAEDの設置数が世界トップクラスで、使い方を学ぶ機会も増えている。ただ、AEDが実際に使われるケースは多くない。
 心臓が原因で心停止になった人の1か月後の生存率をみると、心肺蘇生をしなかった場合は9.3%、心肺蘇生をした場合は17.3%、AEDを使った場合は53.6%だ。社会復帰もAEDを使えば高まる。