「伊陸天神祭」は、菅原道真公を祀る祭りとして180年以上の歴史と伝統があります。美しく華やかに着飾った寄進牛が御網代御輿を引いて参道を歩く、牛が主役の珍しい祭りで「牛天神」とも言われています。道真公と牛との関係は、道真公の生誕が承和12年(845年)6月25日で丑年、薨去日が延喜3年(903年)2月25日で丑の日だったことに由来していると言われています。
 まず、社殿で斎主によるお祓いから御神体を御網代輿に移す「降神の義」が行われ、御神幸行列が神社から約400m先の御旅所までの参道を歩きます。行列は稚児が騎乗したお先乗り馬が先導し、氏子が旗、指物、大小筒などの奉物を捧げ、絢爛豪華に着飾った寄進牛が鞍に幟を立てて御網代輿を引き、子ども輿と共に練り歩きます。御旅所での神事を終えた後、行列は再び参道を歩いて神社に戻り、社殿で御神体を神殿にお還しする「昇神の義」を執り行い、約2時間に及ぶ行事が終了します。


 毎年4月第一日曜日に開催される「伊陸天神祭」ですが、今年は4月3日に関係者において祭祀のみ執り行います。新型コロナウィルスの影響で昨年に続き、御神幸行列は中止となりました。一日も早い新型コロナウィルスの終息を願うばかりです。

 

「伊陸天神祭」展示コーナー設置

  4月8日(金)まで、公民館に「伊陸天神祭」で使われていたものを展示しています。
 これは昭和37年ごろに作られたもので、平成28年に村木家より柳井市へ寄贈されたものです。

  

 これらは「お先乗り馬」に装着していたもので、「笠」は馬に乗った稚児が被っていました。現在も「お先乗り馬」が御神幸行列を先導しますが、このような装着は見られません。当時は、稚児の役を引き受けた家が用意していたようです。
 昭和37年ごろは、寄進牛は数十頭もおり抽選で行列の順番が決められるほどでした。祭りの後には牛の競り市が行われ、関東の方からも多くの業者が買い付けに来ていたといいます。当時の人たちにとって「伊陸天神祭」は重要なイベントであり、大きな楽しみだったことがうかがえます。
 是非、そんな当時の面影を感じてみてください。