朝晩と日中の気温の差が大きくなり、秋の深まりを感じるようになりました。小学校校庭の紅葉や銀杏の葉っぱもきれいに色付いてきました。そんな穏やかな秋晴れの11月3日(木)「文化の日」に、伊陸公民館と伊陸小学校が一緒になった複合型施設で「文化祭inいかち」(13時~16時30分)が行われました。
 「文化祭inいかち」は、伊陸地区コミュニティ協議会初めての試みの行事でした。令和2年度に「みんなの家」をコンセプトにした小学校と公民館が一緒になった複合型施設が完成しましたが、新型コロナウィルスの影響で大々的な見学会はできませんでした。地域の方は、それぞれ必要な場所の利用はされていても、施設の全体を見られた方は少なく、『用がないと行けない。』と新しい建物の中に一度も入ったことがない方も少なくありませんでした。
 実は昨年、コロナ禍でもできるイベントとして『いかちの今と昔』と題して、施設見学と過去を振り返られる写真展を企画しましたが、直前の爆発的な感染拡大により中止せざるを得ませんでした。そんな経緯があり、今回のイベントはとても思い入れがありました。そして今回、「文化の日」にちなんで『芸術の秋』を堪能していただこうと、『クラリネット&ピアノ デュオコンサート』として演奏会(15時~15時45分)も合わせて行いました。

 「いかちの今と昔」では、昭和24年度から令和3年度までの小学校の卒業写真や、『伊陸天神』や24年に1回の『八関神楽』、コミュニティ協議会の取り組みや公民館活動の取り組みの写真などをA4に引き延ばして施設内に貼りました。その写真を見ながら進むことで施設見学ができるようにしました。理科室と多目的ホールでは、過去の映像を流し椅子に座ってゆっくりと見てもらいました。
 「クラリネット&ピアノ デュオコンサート」は柳井市在住のクラリネット奏者 藤山いずみさんとピアノ奏者 藤井美沙季さんに、「まいかホール」(音楽室)で演奏していただき、前面の「アソビの庭」で鑑賞できるようにしました。

普段は広く感じる廊下も大勢の人でいっぱいです。
卒業写真の前では当時の自分や友達を見つけて大きな歓声が上がっていました。
多目的スペースでの映像観賞。当時を思い出して涙する人も…
「演奏会」では100人以上の方が素敵な音色に魅了されていました。

 

 開場と同時に多くの人が来場され、人が途切れる事がありませんでした。親子で来られたり3世代で来られた方もいらっしゃいました。皆、思い思いに写真を見入って当時の事を思い出していました。地区外から来られたご夫婦は、「親が伊陸出身なんです。親が過ごした伊陸の様子を知ることができてうれしいです。」と言われていました。卒業写真には多くの人だかりができ、昔の面影を探しては大喜びされていました。「古い写真だから当時を思い出して懐かしんでもらえる」と企画しましたが、少し前の最近の写真の前でも当時の思い出に花が咲いていました。いつの時代でも、『小学校卒業』という節目は人生において大きな意味があることを、皆さんの様子を見て感じました。
 
クラリネットとピアノのコンサートでは、用意した椅子が埋まってしまい追加するほど盛況でした。藤山さんと藤井さんは、軽快なトークも交えながらクラシックや「故郷」や「シャボン玉」などの日本の歌、最後は「伊陸小学校校歌」を風情たっぷりに演奏されました。バイオリンの演奏曲として有名なモンティ作曲の『チャールダーシュ』では、「クラリネットでも出来ない事はない。チャレンジしてみよう。」と、圧巻の指使いで息をのむ演奏を聴かせていただきました。
 地域の方からは、「伊陸に居ながらこんな素敵なコンサートを見られるなんて!」「雲一つない空を見上げるとカラスやとんびが優雅に飛んでいて、耳にはクラリネットとピアノの素晴らしい音色が聞こえて、なんて贅沢な時間なの。」などの感想が寄せられました。

 新型コロナウィルスの影響で我慢の時が続いています。今回、新しい施設のお披露目も2年越しでやっと叶いました。何一つ心配のない、以前のような生活スタイルに戻れるのはまだまだ先の事だと思いますが、皆さんの様子を見て「地域が元気になる」イベントができたことを嬉しく感じました。そして何より、私たちの方が皆さんから元気をもらった一日でした。